7都府県に緊急事態が宣言された後、SCや百貨店のエントランスから館内をのぞくと、商品が手つかずのままの店が多かった。急な休業のため、とりあえず置いておくという判断だったのだろう。あるSCに聞くと、ECに強く、ほぼ全商品を引き上げた店もあったという。
他府県への店間移動やECでの販売を見込んでのことだ。約1カ月間、販売機会を失うと想定すれば、他販路を模索するのは当然。4月16日には緊急事態宣言の対象が全国となり、休業施設はさらに広がった。防犯面もあるだろう。空っぽ状態の路面店が増えていた。年々伸びるECだが、それでもリアル店舗分の売り上げは到底カバーできない。
商品を引き上げても、いずれ元に戻すことを考えれば、物流コストがかさむ。そんな声も聞こえてくる。ブランド価値を棄損せずに消化する方法はないか。春物商品を秋のMDに組み込んでコーディネート提案できないか。来春まで持ち越して販売しようか…。今ある店頭在庫をどうすべきか、悩んでいる企業は多い。
休業前、ある百貨店の婦人服フロアに並んでいた今春夏商品はとても魅力的だった。〝同質化〟とは真逆の多様な服がいくつも提案されていた。支払い、資金繰りの問題もあるのだろうが、いずれくる営業再開とその後を視野に、なんとか正価で販売する工夫はないものか。