政府は新型コロナウイルスに対する緊急経済対策で、4月7日に閣議決定した20年度補正予算案を組み替え、減収世帯への30万円給付に代わって国民1人当たり10万円の一律給付を決めた。閣議決定した補正予算を組み替えたのは初めて。新型コロナの影響の甚大さの反映だが、政府が迷走しているのは明らかだ。
補正予算案には喫緊の課題である中小・小規模事業者の資金繰り対策や事業継続のための給付金制度などが盛り込まれた。繊維・ファッション関連業界でも利用する企業は多いだろう。10万円給付も業界にとってプラス材料になるかもしれない。
しかし、既に前年度当初・補正予算と今年度当初予算で7000億円を投じ、6月末に終了するキャッシュレス・ポイント還元事業に755億円を計上したことは疑問だ。梶山弘志経済産業大臣は「多くが日用品の買い物に利用され、国民生活の下支えになっている。それを継続させるための措置」と強調するが、ファッション店を含めて多くの中小店舗が休業するなかで、予算をさらに増やす必要性はあるのだろうか。
梶山経産相は21日、コロナの終息まで長引けば、追加の経済対策を措置すると示唆した。早期の終息を願うが、迷走せずに、休業店舗・商業施設への国としての補償を含め、業界と日本経済を支える追加措置を講じるべきだ。