《めてみみ》強くて妖艶

2020/03/23 06:24 更新


 20~21年秋冬デザイナーコレクションは、トレンドが大きくは変化しなかった。その中で対極にある要素をミックスしていくデザインが広がっている。男性らしさと女性らしさ、構築性と揺れ動く布、相反するものを組み合わせることで新しい美しさを描く。

 最も大きな変化は、マスキュリンなテーラードスタイルが増えたこと。パンツスーツからテーラードジャケットまで、男性らしさを取り入れることで女性らしさを際立たせる。構築的なテーラードジャケットと揺れ動く布のコントラストで描くスタイルも目立つ。

 春夏トレンドのシンプルでミニマルなムードは、秋冬も継続している。秋冬はシンプルなラインに、官能的な気分を加えたラインが新しい。90年代のグランジや80年代のパンクの要素を取り入れた強くて妖艶(ようえん)な女性像も登場した。

 ショーで使われた音楽で、とりわけ多かったのが80年代の米国のディスコ・ロックの「ブロンディ」。ニューヨークの「コーチ」のショーには、ブロンディのボーカルのデボラ・ハリー本人も登場した。ブロンドヘアに赤い唇がトレードマークだったデボラ・ハリー。まさに、80年代の強くて妖艶な女性像そのものだった。秋冬市場には、どんなトレンドが広がるだろうか。その頃にはファッションを楽しめる状況になっていることを願ってやまない。



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