《めてみみ》再稼働はしたものの

2020/03/11 06:24 更新


 新型コロナウイルスの影響は繊維の産業チェーンにも及んでいる。日本で販売されている繊維製品の約7割が中国製。中国の各業界団体によれば2月末時点で約80%の企業が再稼働している。その比率は大手企業ほど高い。綿紡績でみると従業員の復職率は60%程度で、平均の稼働率は70%前後。

 各社に共通する課題は、市場の低迷により注文が回復していないこと。それに加え、産業チェーンや物流が寸断されている点だ。そのため春節(旧正月)前に受注していた製品を出荷できないでいる。こうした状況は納品遅れという形で日本でも影響が出ている。中国国内の物流については、何社かに問い合わせたが、回答は異なった。使っている物流会社、工場のある地域によって状況は様々だ。

 再稼働はしたものの、物作りの環境は通常には戻っていないと感じた。日系製品メーカーの担当者は、「工場が正常に戻るのは今月末ごろ」という。商社の担当者は、「納期は1カ月遅れる見込み」との見通しを教えてくれた。

 中国服装協会によるアンケートで直面している問題を聞いたところ「従業員不足」が最も多かったが、前回調査より割合は減っていた。その一方で2番目の「原材料不足とコスト上昇」、3番目の「販売停滞、在庫拡大、流動資金不足」は、その割合が増えていたのが気掛かりだ。



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