《めてみみ》国内工場の出番

2020/03/02 06:24 更新


 大半の縫製業が中国をはじめ、東南アジアなど海外に移転した現在でも、紳士オーダースーツ工場はまだまだ国内に残っている。それらの工場が今のオーダースーツブームを支えている。ほとんどが従業員数百人規模で国内の縫製工場としては大きい方だろう。

 大手企業での服装の自由化の推進によって、スーツ離れに拍車がかかる中、一部のオーダースーツ専門店は勢いを増している。リーズナブルな価格設定と自分好みにカスタマイズできることを、改めてオーダー未体験の若い世代に訴求できたことが成長の原動力になった。

 国内のイージーオーダースーツ工場では、生産システムのデジタル化への投資に積極的な企業も出てきている。オリジナルテクノロジーの青森工場は昨年8月、近隣の廃校となった小学校に移転・リノベーションし、新工場を立ち上げた。体育館の8メートルの天井高を活用した高層の自動倉庫(1500種の生地を格納)に代表される、生産の前工程のIT化で短納期と省力化を実現した。

 それによって「1週間納期」が可能になった。既製スーツの裾上げを待つのと同じ感覚で購入できる。このスピード感は大きな武器になりうる。これまで既製スーツが得意としてきた成人式や就職活動、入学・入社などのオケージョン需要でもオーダースーツの出番が増えそうだ。



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