売り場の定点観測取材をしている。店頭で売れ行き動向やその月の販売施策を聞き、「推し」の服を使ったコーディネートを撮影し、その月、その店が売りたい商品と戦略を掲載する。こういう流れだが、店によって流儀がある。
メンズの場合、ある店はトルソーのコーディネートをできる限りそのまま撮影して欲しいという。次にトルソーに着せ付けてはあるが、取材で紹介したアイテムをその場で着せ替えることもある店。トルソーが店にないので、ハンガーや棚から商品を選んで即興でひねり出すという店もある。
最初の店は、どの店でも同じイメージを客に伝えたいと判断してのこと。次の店は旗艦店で、着せ替えに応じられる品揃えの豊富さが売り。最後は「このパンツにはスニーカー」というディレクションはありつつ、その場で「ブーツの方が格好良い」と感じたら、そうしてもいい店。
個人的には最後の店の取材が楽しい。「シャツはこの色よりこっちの方が良くないですか」と聞くと、「そっすね」と言ってどんどん組み合わせが変化する。
最後の店では自社のEC販売の半分強が、店頭に立つ販売員が上げたスタイリング画像などに客が関心を持ったことがきっかけという。会社によってルールが違うのは当然だが、自律して考える販売員が多い店はネットでも強いようだ。