台湾の総統選挙で現職の与党・民主進歩党(民進党)の蔡英文氏が再選した。結果は圧勝だったが蔡氏の再選は順風満帆ではなかった。前哨戦である18年秋の地方選で大敗。蔡氏は民進党代表を辞任し、総統再選は不可能と見られていた。しかし昨年6月からの香港の反政府デモで風向きが大きく変わった。
中国は台湾を香港、マカオと同様に高度な自治を認める「一国二制度」で統一しようとしているが、香港での中国の対応を注視してきた台湾人は、その一国二制度の受け入れや中国への統一を今回の選挙で明確に拒否した。
デモが続く香港では小売業が大きな影響を受け、日本ブランドへのダメージも大きい。早く落ち着きを取り戻して欲しいが、収束の形は見えない。
中国はアジアから欧州、アフリカをつなぐ巨大経済圏構想「一帯一路」を進め、国際社会での影響力をさらに高めようとしている。しかし、米中貿易摩擦で中国国内景気が減速、香港、台湾での反発など足元がおぼつかなくなってきた。
中国の人口は約14億人。台湾は約2400万人、香港は750万人に過ぎない。しかし、その小さな民意が大きな力を生んでいる。香港、台湾ともに中国の強硬政策が裏目に出ているのは明らかだ。今は遠くに目を向けるよりも、対話を重ね、平和にそれぞれの発展を目指してもらいたい。