《めてみみ》主役交代

2020/01/06 06:24 更新


 年末のNHK紅白歌合戦では人気アイドルグループやベテラン演歌歌手などに交じって初出場した若いアーティストのパフォーマンスが印象的だった。数年前にラジオで初めて聞いた時は、まだまだ無名の若手扱いだっただけに、急成長ぶりが自分のことのようにうれしい。

 正月に実家に帰り、家族で楽しめるテレビのバラエティー特番を見ていても、霜降り明星やEXIT、宮下草薙などいわゆる〝第7世代〟の活躍が目立った。お笑い芸人も若手が台頭し、世代交代が始まってきたようだ。

 繊維・ファッション業界を見渡しても、かつて隆盛を極めた大手アパレルは相次ぎリストラを発表するなど以前のような勢いは感じられない。運命共同体だった百貨店も地方店の閉鎖が止まらず、元気がない。これから百貨店市場で売上高100億円規模の新しいブランドが生まれる可能性は低いと言えるだろう。

 一方で、アウトドア系などのガレージブランドはニッチな世界で熱狂的なファンを獲得している。全国の卸し先を期間限定のイベントで訪れ、直接ファンと触れ合う姿は、まるで全国のライブハウスを巡るインディーズバンドのようだ。従来型のビジネスモデルは通じない。大手企業には次代を担う若手を発掘・育成する役割も求めたい。主役交代の波はもうそこまで来ているのだから。



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