《めてみみ》三越伊勢丹の「アナスイ」撤退

2019/11/19 06:24 更新


 三越伊勢丹は「アナスイ」事業から20年3月末に撤退する。国内の直営10店、アウトレット2店を順次閉店する。子会社の婦人服専門店「マミーナ」の清算に伴って18年3月から、三越伊勢丹がブランドライセンス、小売り、卸の事業を引き継いでいた。他社が販売するライセンス商品は当面、継続する見通しだ。

 アナスイは米ニューヨーク発の婦人服・雑貨ブランドで、91年に初のコレクションを発表。伊勢丹(当時)との関係は94年秋の「解放区」がきっかけで、96年11月に日本での独占的販売及びライセンス使用契約を結んだ。海外デザイナーブランドを発掘し、事業を拡大した成功事例となった。

 両社の関係は良好だったが、転機となったのはここ数年の衣料品不況だ。化粧品や雑貨は次世代顧客を獲得して堅調だったが、主力の婦人服は売り上げの落ち込みが続いていた。婦人服の比率が高い直営店や卸売りは採算割れを強いられた。

 三越伊勢丹は杉江俊彦氏が社長に就任した17年3月以降、不採算事業を矢継ぎ早に整理、縮小してきた。アナスイ事業の終了はその一環。冒頭のマミーナ清算をはじめ、欧米ブランドを輸入・販売するクラブ21ジャパンの事業撤退など従来の拡大路線から収益重視へ戦略転換しており、全社にコスト意識を徹底する。百貨店事業も同様で、聖域はない。



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