かつては都市郊外で店舗数を増やしていた業態を、都心部でよく見かけるようになった。紳士服専門店やファミリーレストラン、食品スーパー、家電量販店などだ。今でもロードサイドの方が多いのだろうが、都心部の商業施設への出店も増えている。
地価の上昇で郊外に広がった生活圏が、都市部での高層マンションの相次ぐ新設などで「都心回帰」しているためだ。その象徴とも思えるのが、ヨドバシホールディングスが大阪駅前の一等地で開発している「リンクス・ウメダ」だ。既存棟の「ヨドバシカメラマルチメディア梅田」と新設棟を一体化して11月にオープンする。
「ニトリ」「石井スポーツ」「スーパースポーツゼビオ」などの大型店や食品スーパーが入り、幼児向けフィットネスやアミューズメント施設で構成する「ファミリー天国」のフロアもできる。公表されたテナントの顔ぶれをみると郊外大型SCのようだ。駐車台数は1200台に増やした。
近隣住民やオフィスワーカーとともに、ヨドバシカメラ、周辺の百貨店や商業施設利用客の日常消費の買い回りを想定して構築した。市内最大級の1000室を超えるホテルや「ウィーワーク」といった〝都市機能〟も加えた。都心回帰が進むところは、今後、非日常と日常の双方の消費に対応する空間になっていくのだろう。