地方・郊外の百貨店にとって一番の悩みは商品が集まらないことだ。NBの統廃合が相次ぎ、取引先は収益悪化で在庫を減らし、商品を都心の効率の良い店舗に優先配分するため、地方百貨店に商品が行き渡らない。
サプライチェーンを改革しようにも、自らが物作りに関与することは難しい。百貨店が単独で解決できる問題ではない。ECモールを運営するストライプデパートメント(ストデパ)は9月中旬から、百貨店向け新サービス「ダース」をスタートした。地方百貨店のオムニチャネル化を支援するプラットフォームを提供し、百貨店ECサイトの運営を代行する。
百貨店とアパレルの共通プラットフォームを通じて、商品供給を安定化する。百貨店にとって負担だったECサイトを運営する初期投資や商品管理、ささげ(撮影、採寸、原稿作成)業務、物流などのランニングコストが必要なく、顧客はストデパが揃える1000ブランドから商品を購入できる。
トキハ(大分)、大和(金沢)が「ダース」を活用し、トップページに各百貨店名の入ったサイトの運用が始まった。百貨店側が顧客を誘導し、購入金額に応じて3%の手数料などがストデパから百貨店に支払われる。「顧客流出につながる」と参加をためらう百貨店もあるが、総論賛成、各論反対では今の苦境から脱せない。