米政府は1日に対中制裁関税の第4弾を発動した。中国も対抗措置を講じたのに加え、WTO(世界貿易機関)に提訴、貿易戦争は過熱する一方だ。米国側リストには61、62類の衣料品、63類繊維製品、64類履物、65類帽子、66類傘と、ファッションビジネス関連製品が、ほぼ全て対象となった。ただ、クリスマス商戦を意識し、ベビー子供服など一部の製品は12月15日から関税が上乗せされる。
中国の日系企業は米国向けビジネスが、ほとんどないので、直接的な影響は少ない。衣類はクリスマス商戦を意識して「大部分が除外されるのでは」との予測が多かったので、除外品目が一部にとどまったことを意外に感じた人が多かったようだ。
関税の引き上げでは、中国が米国より大きな影響を受ける。影響を少しでも緩和するために中国政府は人民元安を容認している。8月末で1ドル=7.15元前後となっている。7.2~7.3元で、第4弾の影響をほぼ相殺できるとする専門家の見方もある。
元安は国外への資金流出というリスクも伴う。米自動車メーカーは8月末に中国での輸入車販売価格を引き上げた。元安は、中国で活動する全企業に影響を及ぼす。日本素材を販売するメーカーや東南アジアへ素材を輸出する企業など、多くの日本企業が影響を受けることになりそうだ。