《めてみみ》未来に残す工場

2019/08/19 06:24 更新


 国内の縫製工場にスポットライトが当たることは少ない。国産比率の低さは、絶滅危惧(きぐ)種の野生動物のようだ。そんな中、国際衣服デザイナー・エグゼクティブ協会(IACDE)の日本支部は、優良な紳士服の縫製工場を未来に残す目的で「3つ星認定工場」を発表した。

 第3回となる今年は、コート部門からサンヨーソーイング(青森県七戸町)が選ばれた。6年前の第1回では、毛芯縫製の既製服で外注生産する紳士スーツ工場から東和プラム、ファイブワンファクトリー、ブティック創と、重衣料の縫製業の集積産地として青森県アパレル工業会の1団体を選んだ。第2回はイージーオーダーの紳士服工場から選定し、グッドヒル、ジェンツ、ミユキソーイングに決定した。

 IACDEとは、紳士服産業に従事するモデリストと関係する企業経営者、管理者によって組織された国際的団体。1911年に米国で設立され、現在は米国、イタリア、ドイツ、日本、カナダ、中国、ベトナム、インド、トルコ、ドミニカなどに会員を擁する。日本支部は今年で設立40周年を迎えた。

 華やかに見えるファッション業界を支えるのは物作りの現場。トレーサビリティー(履歴管理)が重視される今、作り手とともに成長する姿勢に転換しなければファッションの未来は真っ暗闇になってしまう。



この記事に関連する記事