ワコールホールディングスが米国のインティメイツ・オンライン(IO)を買収した。IO社はデジタルメディアを駆使するDNVB(デジタル・ネイティブ・バーチカル・ブランド)企業の一つ。米国では老舗企業が低迷する一方、DNVB企業が躍進しているという。
ワコールの米国事業は、すでにグループの大きな収益事業だ。ここにIOが加わることで、EC関連事業の拡大、ミレニアル市場の強化を目指す。買収金額は最大151億円、ワコールヨーロッパの前身、旧イヴィデングループの買収額約200億円に並ぶ大型案件となる。
現時点ではIO社は営業損失であり、発表の席上でも収益見通しに関する質問が飛んだ。ワコールは、IO社がスタートアップ企業である点、物流や生産の共有化でかなりのコストダウンが見込まれることを黒字化の背景に挙げている。
ワコールの米国事業も順調だったわけではない。プラザ合意の85年からの10年だけで累積損失5000万ドルを出した。新しい事業、特に海外市場開拓などの課題を乗り越えるには、人・物・金が重要。ただ、それ以上に、是が非でも成功させるという思いが大切だ。これから海外市場を拡大しようとする中小企業も多いはず。企業規模に関係なく、成功には経営トップの〝執念〟が重要なファクターになる。