上海高島屋が8月25日に閉店する。発表の2日後に行くと、地下の食料品売り場だけでなく上層階の服飾売り場も、通常より多くの人が入っていた。関係者によれば発表後、入店者数が前年同期比60%増、売上高が3倍となった。閉店セールを期待して来店している人が多いようで、こうした傾向は日本と変わらない。
あるテナントで話を聞いたら、サマーセールで値下げしている商品だけでなく、「お客さんも何か買おうという気持ちで来ているので、ついついプロパーの商品も買ってしまう」と笑いながら近況を紹介してくれた。
上海高島屋は苦労の連続だった。得意とする街と一体の複合開発に取り組もうとした時期もあったが、実現できなかった。ここ数年は単店舗で、「日本の安心安全」を切り口にして住民に寄り添った店舗作りが、徐々に効果を上げていた。
昨年の第1回「中国国際輸入博覧会」では、そうした姿勢を評価され、外資としては唯一の重点施設に選ばれた。その結果、保税売り場の設置が認められるなど、独自の優位性をもてた。商業施設間だけでなくネットとの競争も激化し、百貨店が生き残っていくのは容易ではない。上海市との良好な関係は変わっていないという。消費は多様化と高度化が進んでいる。日本の百貨店の強みと今回の経験を生かし、ぜひとも再挑戦してほしい。