20年春夏メンズコレクションでは、マリンやセーラーの要素を取り入れたラインが広がった。80年代を思わせるポップな色柄やビッグショルダーのテーラードも登場した。スポーティーなストリートスタイルやワーク・ミリタリーのディテール、レトロなムードやリラックススタイルもトレンドだ。
ストリートスタイルが市場を圧倒する中で、テーラーリングを軸にしていたブランドは新しいスタイルを模索している。男性らしさの象徴ともいえるスーツをモードの中でどこに収めるのかが課題となっている。テーラーリングの新しさを探す動きの中から、デコンストラクト(解体、再構築)のデザインも目立った。
色と柄に焦点が当たったシーズンでもある。トロピカルなモチーフやマリン、バロック、アニマル、タイダイといった柄が広がった。色はパステルトーンやナチュラルカラーを軸にしながら、鮮やかなフラッシュカラーやミント、ピンクなどを取り入れる。
サステイナブル(持続可能な)をキーワードにするブランドも多かった。廃棄された生地を再利用するブランドもあり、今やサステイナブルはビジネストレンド。問題はサステイナブルをベースにして、どんな新しい時代を描くのか。人の心を揺さぶる新しいデザインこそが、最も必要とされ、不良在庫にならない商品でもある。