《めてみみ》プレタポルテのあり方

2019/07/05 06:24 更新


 20年春夏メンズコレクションが終了した。来春に向けた欧州の展示会もひと段落し、今月後半にかけて国内での受発注が活発に行われる。今シーズンの展示会やファッションショーを見て、メンズ市場の状況を考えさせられた。

 世界的なカジュアル化の進行は、展示会に出展する専業メーカーを苦心させている。重衣料、シャツ、パンツ、各メーカーとも従来のビジネスからの転換を迫られ、ドレスシューズはスニーカーブームのあおりを食う。

 デザイナーブランドの市場では、ヒップホップコミュニティーと親密なストリートブランドと一部のラグジュアリーだけが売れ続ける状況が止まらない。クリエイティビティーの面では退屈なスポーツアイテムを軸にしたストリートスタイルやマーク(ロゴ)のビジネスばかりがもてはやされる。ラグジュアリーブランドでさえ、新しいクリエイションよりもヒップホップとの親和性の高いデザイナーを起用する。

 ビジネスである以上、時代にマッチした売れる商品を開発するのは当然のこと。しかし、デザイナーブランドの中に、こんなにマーケティングばかりがはびこると、ますます閉塞(へいそく)感が強まってくる。本来、新しいクリエイションに挑むブランドを評価して、市場を活性化してきたプレタポルテのあり方が、今、大きく変わろうとしている。



この記事に関連する記事