《めてみみ》格好の季節

2019/06/11 06:24 更新


 6月は中途半端な月だ。梅雨で客足が遠のくし、本セールを控え、専門店はカード会員向けのセールも始める。だが、プロパーで夏物を売れる時期は今月だけなので、それも売り逃せない。

 先行値引きした商品の売れ行きも気にしつつ、最終入荷したプロパー商品の消化率も維持したい。そんな時期に店頭の定点観測の取材をすると、「いかに前年実績を下回らずに、セール月の7月を迎えるか」に話題が及ぶことが多い。

 今年も取材して回ったが、「一番接客を大事にしなきゃいけないのは6月」。こういう声が何人かの店長から上がった。その理由は、夏セールの集客力はかつてほど強くないので、客が皆、先行セールの商品目当てで来店するわけではないからという。

 ハワイアンシャツなら、柄の由来をちゃんと伝えれば、若い客に響く。オーバーサイズのTシャツなら、今季はウエスト回りを若干シェイプして子供っぽく見えないよう工夫したと説明すれば、30代以上の客も試してみようかとなる。

 「全員がリピーターになってくださるわけではないですけどね」。ある店長はこう前置きした上で、セール品とプロパー商品が混在するこの時期に、丁寧に接客することで、顧客を何人か増やした体験談を語ってくれた。入梅は販売員が接客力を磨く格好のタイミングかもしれない。



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