《めてみみ》引き継がれる理念

2018/12/20 06:24 更新


 来秋に日本に1号店を出す台湾の誠品グループは、世界にあまりないユニークな企業だ。祖業の書店を軸に、ギャラリー、カフェ、ホテルなどを運営する。ファッションを含めたテナントと自社店舗を組み合わせた複合商業施設もある。

 「チェーン店でありながら、チェーン店ではない」のも同社のモットーで、大きな特徴だ。12月11日時点での店舗数は計46。ほぼ全てが書店「誠品書店」と雑貨を中心としたライフスタイル業態「誠品生活」の複合・併設店だが、同じ店はない。出店エリアの特性や立地環境に合わせ、品揃えや店の作り方、運営方法を変えている。それが幅広いニーズと客層の取り込みにつながり、売上高600億円を超える企業に成長した要因の一つだ。

 各店で共通点もある。どの店も本を並べるだけでなく、アートや文化が体感できる空間を作り、新進・若手作家やクリエイターの発信も重視している。それが統一したブランドイメージに結び付いている。

 同社は89年に故・呉清友氏が創業した。「本と暮らしをつなげ、文化や芸術の発展に貢献し、心身ともにやすらげる場所を作る」のが創業理念。創業者が去った今もその理念は約2300人の社員に引き継がれている。時代の変化に合わせながら、理念とコアコンピタンスを貫くことが企業が永続するためには重要だ。



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