ここ数年、商業施設がES(従業員満足)への取り組みを活発化させ、それをアピールするようになった。これまで見せてももらえなかった従業員休憩室を、改装して広く便利になったからと見学させてくれたり、店舗スタッフのための忘年会やクリスマスパーティーの盛り上がりを知ってもらいたいと招待してくれたり。CS(顧客満足)と同等かそれ以上の重要課題と位置付け、経費や手間をかけるようになった。
昨年末で日本のSCは3200を超え、18年の開業は40前後にとどまるとはいえ、現在の消費の勢いからすれば明らかなオーバースペース。テナントとの力関係が変わり、ESに不熱心な施設は選んでもらえない。加えて人手不足もES推進の要因となっている。
事業所内保育所を開設する施設が増えている。地方自治体の認可を受け、所得に応じた保育料で預けられ、職場に近い安心感もある。出産や育児による離職に歯止めをかけ、採用案内に盛り込むことで人員確保の一助にもなると各施設は期待する。
「商業施設にとってテナントは賃料をいただく直接のお客様」と、施設の認識は変わってきた。何よりも従業員が満足して働くことが顧客の満足にもつながる。ESの重要性が見直され、店舗スタッフのストレス軽減や働きやすい環境作りに向かって歯車は回り始めている。