《めてみみ》香川のうどん

2018/10/31 06:20 更新


 香川出張の昼食は自然にうどんとなることが多い。多くの店の情報があふれているが、やはり地元の人の情報が一番確か。先日も坂出の駅前で、ある店の主人に一番店を聞いた。「○○が一番」と即答だ。主人の言う通り、味は上々。何より、うどんと天ぷら、ちらしずしのセットで380円という価格に感動した。

 香川県は近年、訪日客が急増中で、伸び率では全国屈指の勢いだ。盆栽や直島のアートなどの人気に加え、高松とソウル・上海・台北・香港を結ぶLCC(格安航空会社)の就航効果が大きい。英語のうどん店案内なども充実し、訪ねた店には中華圏らしき訪日客の姿があった。

 その店から離れることわずか30メートルくらいか。元町商店街というアーケード街がある。香川県で2番目に長いという商店街で、かつては坂出駅から坂出港を行き来する人でにぎわった通りだ。20年前まではまだ繁盛していたらしいが、今は5軒に4軒が店を閉じている。

 ふと、見上げると1枚の大きな垂れ幕がある。かつての街の繁栄を描いた絵が描かれ、その下には「昔はよかったのんなぁ~」という文字。シャッター街と化した商店街は全国各地で見てきたが、これほど直接的に思いを表現したものは初めて見た。活性化への光明は、もう見つからないか。繁盛店から近い分だけ寂しさが際立つ。




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