関西空港から韓国・仁川空港に向かった9月14日のこと。台風で閉鎖されていた第1ターミナルが部分的に再開した、ちょうどその日だった。鉄道が不通のため、関空対岸から臨時巡回バスに乗る。タンカー激突後の修復工事を横目にしながら空港に着く。
近年、特にアジアからの訪日外国人客でにぎわった光景が、うそのようだ。開港からほぼ四半世紀、これほど閑散とした関西空港はさすがに見たことがない。施設や店舗の稼働状況も20~30%程度か。天災に負う部分が大きいとはいえ、様々なリスク管理が適切だったのか、今後の検証が待たれる。
仁川空港に降り立つ。相変わらずにぎやかだ。中国本土からの観光客が以前にも増して目立つ。訪韓中国人こそ今年上期に減少したが、仁川での乗り継ぎは引き続き多いよう。フリーWi-Fi、仮眠所をはじめとする諸設備、トランジット客への長短無料ツアーなどのサービスも充実している。
アジアのハブ空港を目指し、仁川や香港に追いつこうとしてきた関空。LCC(格安航空会社)の増便や訪日客の増加と、年々存在感を増しているのは確か。それでも世界の潮流にはまだ遅れている気がしてならない。台風からの復旧は思ったより早かった。これを幸いとして、世界の観光客を呼ぶためにもう一度頭を絞る必要がある。