《めてみみ》貿易摩擦の行方

2018/09/26 06:24 更新


 24日に米国は過去最大の制裁関税を中国に対して発動した。制裁関税は今回で第3弾となり、2000億ドル相当の中国製品に10%追加課税する。既に実施済みの製品と合わせると、2500億ドルとなる。中国からの年間輸入実績の半分に制裁を科すという事態になった。これに対して中国は、600億ドル相当の米製品に5%または10%の追加課税を科すと決めた。これまでの実施分と合わせると、米国からの輸入実績の8割以上に報復関税を課している。

 繊維関連は素材が中心で、アパレル製品は含まれていない。とはいえ、業界の試算によれば第3弾で対象となっている製品の額は200億ドル程度ある。中国のある大手素材メーカーは、こうした事態に懸念を示しつつも、この間の省力化投資により競争力の高い素材が供給できるようになったので、大きな影響はないとみている。ただ、「原料高や元安といった不安材料は多い」とも言う。

 ある香港企業のトップは「改革開放の40年を顧みて、本質を見つめ直す良いチャンスになるのでは」と話し、長い目で見れば中国にとって良い影響を与えるとみている。米中貿易摩擦の先行きは分からない。今後、さらに対象品目が増えたり長期化するようであれば、東南アジアへの生産移転が加速するかもしれない。日本企業への影響も心配だ。



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