上海は9月に入っても、まだ暑い。信号待ちの間にも汗が噴き出る。仕事後にクーラーの利いた居酒屋で飲む冷えたビールは最高だ。この10日間では午後になると、ゲリラ豪雨もしばしば。「これも地球温暖化の影響?」などと言いながら杯を酌み交わしているが、数分もすると別の話題になっている。
エコロジー、リサイクル、エシカル(倫理的な)といったキーワードはファッションビジネスでも重要になってきた。中国企業の間でも、この1年で重要なキーワードとして使われるようになった。余裕のある中国企業はトップから現場まで、欧州市場の視察を定期的に行っている。そのため欧州の変化を敏感に感じ取っているようだ。
「これらのキーワードを商売につなげるのは難しい」と語るのは、ある商社マン。自然に優しいTシャツが3000円、普通のTシャツが2000円。「自分が消費者なら迷わず2000円のTシャツを買うだろう」と。「1年後に地球が無くなるくらいの状況になれば売れるかも」とも。
この話を聞いてトヨタ自動車の「プリウス」を思い出した。普通の車より割高であるにもかかわらず、抜群の燃費が評価されてヒット商品となった。消費者にとってメリットが分かりやすかったからだ。ファッションでも、市場を変えるような魅力を創造できるか問われている。