継続は力なり。この時期、各施設で開かれている接客ロールプレイング大会を見て感じたことだ。年々、接客技術が向上している。かつては、顧客ニーズを探ることなく商品説明に終始している販売員が目立ったと記憶している。最近は、顧客ニーズに沿った提案は当然の技術のようだ。
「前回のコンテストでは悔しい思いをした」。優秀賞などに選ばれた販売員のこんな受賞コメントを幾度となく聞いた。審査員の講評や他の出場者の接客技術も参考にしながら自己研鑽(けんさん)してきたのだろう。先輩から後輩へと接客技術が受け継がれていることがうかがえるコメントも多かった。
販売員と店全体のチームワークで、顧客満足の向上に前向きに、継続的に取り組んでいるからこそ、出場者全体の接客技術が向上しているのだと思う。少し気になったこともある。時代の反映だろうか。わずかな違いではあったが、衣料品店はやや控えめな接客、コスメ店は積極的に見えたことだ。
「もっともっと一期一会を大切にしていきたい」。ある受賞者がコメントしていた。AI(人工知能)は、この言葉の本質を理解して、対応することができるのだろうか。ネット販売重視を掲げる企業は多い。利便性ではネットに軍配が上がるかもしれないが、ショッピングの楽しさを体感できるのはリアル店の方だ。販売員こそが魅力の源泉だろう。