ECが主力のブランドの期間限定店が、都心商業施設を中心に広がっている。「新しいクリエイティブがリアル店よりもEC発の流れになっているから」。百貨店やファッションビルで、主にヤング層を対象とする売り場担当者によればそれが限定店を出す理由だ。
SNSでの情報発信効果もあるのだろう。インフルエンサーと呼ばれる人が手がけるEC発ブランドの集客力はおおむね高く、入場制限していた衣料品の限定店もあった。衣料品だけでなく、アクセサリーや手作り作家の限定店も数多い。クラウドファンディングを活用した生産商品の限定店を開設する事例も出てきた。
EC販路の台頭により、リアル店の開設、卸し先の確保といった売り先の問題は少なくなった。その結果、「作りたいモノを作る」小規模な生産者が増えている。こうした商品が「新しいクリエイティブ」として捉えられているのだ。
商業施設側にとって、デジタルネイティブに支持されているブランドや手作り商品を館内で販売することは、新規客層の獲得につながる。館の魅力を将来的にも維持、向上させるために避けられない課題になってきた。こうした作り手の創造性を損なうことなく、EC発ブランドが継続的に販売できるようなプラットフォームをどう構築するか。商業施設の模索が始まった。