《めてみみ》諸刃の剣

2018/05/11 04:12 更新


 「メットガラ」とは、毎年5月に開かれるニューヨークのメトロポリタン美術館(MET)のガラパーティーのことだ。展覧会のオープニング・イベントとして、各界のセレブを招いて行われる。ニューヨークで最も重要なソーシャル・イベントの一つだ。

華やかなガラパーティーが話題を集めるが、展覧会も注目だ。昨年は「川久保玲/コムデギャルソン:間の技」展が開催され、9月までの会期中、大いに話題になった。今年は、「ヘブンリー・ボディーズ~ファッションとカトリックのイマジネーション」展。カトリックとファッションの関係を問う展覧会は地味な内容と思われたが、ふたを開けてみればなかなか興味深い。

 ファッションとカトリック、中世美術の間を行き来しながら、その垣根をできる限り外そうとした試みだ。多くのデザイナーがカトリックからの影響を受けたコレクションを発表していることに気づかされる。

 宗教の持つイメージや様々なアイコンが、デザイナーを刺激するのだろう。しかし、グローバル市場にとって、宗教からのインスピレーションはもろ刃の剣とも言える。例えば、巨大市場でもある中東では、カトリックをテーマにしたコレクションが全く売れないと聞く。展覧会を通じ、ファッションと宗教の関係、その市場への影響を改めて考えさせられた。




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