《みてみみ》ライフとワーク

2018/03/02 04:00 更新


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 来春に向けた就職活動が解禁された。着慣れないスーツに身を包んだ学生たちとすれ違う季節だ。どの業界も労働力不足であり、今年も学生から見た「売り手」市場は変わらない。ただ、関係者によると、いわゆる大手・安定志向ばかりでもないという。

 就職すること。または、仕事をして生計を立てるということの尺度が変わってきたのだろう。急速に変化し続ける社会のなかで、高度経済成長下のような「モーレツ社員」が今さらはやらないのは当然であり、個人の毎日の暮らしを大切に考える人々が増えている。

 簡単に言えば、「ワークライフバランス」の充実を目指すのが自然な時代。大きな歯車の一つになるよりも、小さくても自分の好きなことを仕事にしたい。そんな風に考える若者たちが社会に出てくるわけだ。

 モーレツな働きぶりではなく、多様な「ライフ」が追求される傾向は、ファッション業界にとって追い風のはず。従来にはないような、一人ひとりの個性を彩る商品が必要とされるのだから、ファッションのプロの腕の見せどころは多くなる。そんな可能性を夢見て、この世界を目指す若者も多いはず。

 一方で、この社会のエンジンは、まだまだ「ワーク」重視と自分を省みる世代。一足飛びにはいかないが、少しずつ自分のワークとライフについて見直してみたい季節でもある。



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