コレクションが続くパリで話題になっているのが、「セリーヌ」のデザインを新たにエディ・スリマンが手がけるというニュースだ。スリマンといえば数年前まで「サンローラン」、それ以前は「ディオール」のメンズをデザインする時期もあった。
よもや再びLVMHグループの仕事をすることはないと思っていただけに、この人事に驚いた。スリマンはセリーヌのメンズもオートクチュールもデザインするという。新しい事業領域を手がける両者の思惑が一致したのだろう。
そうなると、セリーヌを去った前任のフィービー・ファイロの動向ががぜん、気にかかる。ロンドンのメディア関係者からは、「バーバリー」に行くことは既定路線のように聞く。しかし、ブランド側は沈黙を守ったままだ。
フィービー時代のセリーヌは、ハイファッションとリアリティーを巡る新しい価値観を示した。その登場以降、ファンタジックなストーリーで見せるコレクションやコンセプチュアルでアバンギャルドな服が時代の傍流へと追いやられた。
今は「ヴェットモン」のデムナ・ヴァザリアや「グッチ」のアレッサンドロ・ミケーレの登場により、デコラティブでコンセプチュアルなクリエイションに再び脚光が当たっている。そんな中で、スリマンやファイロがどう新しいページをめくるのか。注目したい。