《めてみみ》ショールーミング

2017/11/14 04:00 更新


丸井錦糸町店の体験ストア(3/24付紙面より)

 事前に実店舗で商品をチェックし、購入はオンラインストアで――米国では店舗をショールーム化し、ネットだけで販売する企業が急成長している。ネット活用という消費行動を逆手にとった実店舗の開発が広がりつつある。

 丸井グループは店頭に全サイズのサンプルを陳列し、自由に試してから、自社ECで購入してもらう「体験ストア」を導入する。店頭の専用タブレット端末からも購入でき、商品を無料配送する。PBの婦人靴や婦人パンツでスタートし、ウェブへの会員登録やカードへの入会につなげるビジネススキームだ。

 出店は商業施設への短期イベント型と自店での常設型。期間限定店は16年度に本格化し、17年度上期はSC、百貨店など21カ所に出した。常設は自店の静岡、吉祥寺で昨年10月からスタートし、錦糸町、柏の計4店。販売員がストック場と往復する作業がなくなり、接客に専念できるなど業務フローが大幅に向上した。

 販売員のモチベーションの維持、インセンティブのあり方など課題もあるが、低コスト・低リスクのビジネスモデルを確立する。EC化が急速に進む中で、実店舗には「ECに代替されないもの」「ECと補完関係にあるもの」が求められる。アナログとデジタルは対立するものでない。顧客への最適な買い物体験の提供が小売業の使命である。



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