中国EC最大手のアリババグループは来春をめどに、日本でスマートフォンによる電子決済サービスを始める。入金したスマホのアプリで買い物ができる。中国で提供するQRコードを使ったモバイル決済「支付宝」(アリペイ)と同じ仕組みを活用する。
中国はスマホによる決済が世界で最も普及し、オンラインで強いアリペイとオフラインで強いテンセントの「微信支付」(ウィーチャットペイ)が2大勢力だ。中国インターネット情報センターによると、中国のネット利用者は6億5000万人を超え、9割以上をモバイルが占める。
中国の電子マネーによるモバイル決済は年間600兆円に達し、大都市圏では既にほとんど現金を使わずに生活できる。アリペイのユーザー数は4億5000万人以上という。日本で訪日中国人向けに提供され、導入店舗は現在までに2万6000に広がり、3年内に1000万人の利用を目指す。
クレジットカードが普及していなかった中国と日本の環境は大きく異なる。しかし、商品の購入だけでなく、金融や航空券の購入など各種用途の決済手段となる利便性は高い。加盟店にとっても導入コストの低さが魅力だ。物流と並び、決済を制する者は小売りを制するという。電子決済サービスの既存、新規による主導権争いは目が離せない。