米国弁護士出身デザイナーの「メルシー・デマ」 原宿で初の単独期間限定店

2026/11/04 12:00 更新NEW!


「日本人は服の構造や細部へのこだわりを理解している」と話すメリーさん

 ニューヨーク(NY)で10年以上弁護士としてキャリアを積んだ後、ファッションの道へ転じたメリーさん。前職で「燃え尽きた」のがきっかけだが、新しい道を歩むのに背中を押したのは、かつて故郷で服作りに励んだ祖母たちの存在だった。立ち上げたブランド「メルシー・デマ」は、10月11、12日に東京・原宿で初の単独期間限定店を開いた。服を売るだけでなく、人がつながる場をつくることを掲げ、日本市場の開拓に乗り出した。

(永松浩介)

祖母の精神を受け継ぐ

 メリーさんは米ウィスコンシン州ミルウォーキー出身。憧れのNYの法律事務所に勤め収入にも恵まれていたが、やがて燃え尽きを感じた。弁護士の仕事はうまくやれたが、創造性という点では異なる。子供のように自由や楽しさを軸に仕事を選ぶことはできない。「弁護士は誰かの夢を形にする仕事。デザインでは自分の夢を形にできる」。

 その夢は、家族の歴史につながっている。祖母は姉妹と共に、服やモデルを携えてミルウォーキーの家々を回り、リビングでファッションショーを開いていたという。「自分を信じ、自ら機会を作った彼女たちの精神は僕にも受け継がれている」。東京の店も、その形を変えた延長線にあるという。

 ファッション学校で学んだ経験はない。イメージをスケッチし、無難になり過ぎていないかを確かめ、パタンナーらの協力を得て形にする。「自信と大胆さ、子供のような感覚で服を作っている」。ブランド名は、フランス語の「ありがとう」とヘブライ語の「涙」を組み合わせた。「感情、特に涙は最大の教師」との考えから、「バルネラブル・ラグジュアリー」(傷つきやすい・ラグジュアリー)を掲げる。

最高の教師という「涙」はTシャツの意匠にも

人を介して人をつなぐ

 重視するのは、服を売るだけでなく、ファッションやアート、音楽を通じて人が出会い、互いの感情や文化に触れられる場作りだ。ブランドは人に近づくための手段。店では、多くの来場者と笑い合い、互いを知る時間を楽しむ。「服には言葉で伝えられないことを表現する力がある」。

 代表アイテムは、左右の裾にシャツの前立てと襟をあしらったユニセックスの「コープパンツ」。オリーブ、黒、紺の3色で、3万5700円。新作の「カラビナシステムシャツ」は都市ごとのアートワークを施し、左袖に取り外し可能なカラビナを付けた。デザインは13都市分あり、今回は東京、NY、ロサンゼルスの3柄を用意。会期中は限定価格を設定し、パンツは2万3800円、シャツは1万2700円(クロップト丈は1万3000円)で販売した。

 日本市場を重視する。「日本の人々は服の構造や細部へのこだわりを理解している。世界に広げるには、日本市場で信頼を得なければならない」。ブランドはまもなく1周年。最初のコレクションで手応えを得た。無駄を抑えた運営を続けながら、対面イベントへの出店を重ねる。将来は少なくとも三つの国・地域に、レコードバーとジュースバーを併設した実店舗を構える構想も描く。メリーさんは、「少し風変わりで型にはまらないことを、かっこいいものにしたい」と話す。

10月11、12日に原宿で開いた初の単独限定店


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