フリマアプリのメルカリは、60歳以上のユーザーを招いた座談会を開催した。「終活・生前整理など、60代以上にメルカリが浸透する機運が高まってきている」(同社)ことから、ユーザーの意見を直接聞いてサービス開発に生かす狙いだ。20~30代に定着した同アプリだが、60代以上にも浸透すれば、フリマアプリ市場はさらに拡大する可能性がある。
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取引成立率高く
同社とニッセイ基礎研究所が10~60代の男女2536人を対象に実施した調査によると、日本の一般家庭に眠る〝かくれ資産〟(1年以上利用していない不用品)の総額は推計37兆円になるという。一人当たりにすると28万円だが、年代・性別では60代女性が50万円で、10代女性の3.5倍になる。60代男性も35万円と10代の2.9倍で、資産額は年齢に比例する。
これまで一般的に資産と捉えられてきた金融・不動産に次ぐ第三の資産として、かくれ資産を60歳以上がメルカリで売買するようになったと考えられる。メルカリの出品カテゴリーランキング(表参照)では50~60代はレコードや美術品、ゴルフなどで、子供服・用品が多い20~30代と比較すると趣味性が高く高額なのが特徴だ。世代別・性別の取引成立率は、良いものを持っているためか50~60代の女性が40.3%と最も高く、20~30代女性は35.2%となっている。
心の交流にも
座談会の参加者の最高齢は80歳で、合計約30人が参加した。「なぜ使っているのか」「売るためのコツ」「使いだして変わったことがあるか」といったテーマで意見を出し合った。
これまでで500以上の出品経験があったり、100万円以上購入しているヘビーユーザーも多く見受けられた。
メルカリを使う理由として、ある女性は「60代はもったいない精神が強い世代。友達に勧められて、捨てずに取っておいたものを売るようになった」と話す。もともとはリユースショップで中古品を購入していたという男性は「メルカリの方が欠損箇所などをテキストで丁寧に説明されているため、安心して購入できる」と話した。
商品を購入した際に、「出品者からの手紙が同封されていて感動することが多い」と話す人も。「商品に対する思い入れや大切に使って下さいというメッセージを読むと、ちょっとした心の交流になる」のがやりがいとなり、自身も出品する際は「必ず手紙を添えるようにしている」という。
メルカリによって変わったことでは「絶対に再販できると思うものしか新品を買わない」「新品をネットで買ったときは必ずタグをつけたまま試着するようになった」といった声が挙がった。