【今日は何の日?】モームと名翻訳家の白麻服

2017/08/02 04:22 更新


写真はイメージです

 1903年8月2日は英文学者、中野好夫の生まれた日です。愛媛県松山市に生まれ、1985年2月20日に世を去っていますから、81年の人生だったことになります。

 1930年代の中野は、東大の英文科の先生。生徒からは、「叡山の僧兵」と恐れられたという。教え子のひとりが丸谷才一。中野は英文科の教授だっただけでなく、随筆家としても活躍。「もはや戦後ではない」の言葉は、中野が言い始めたのだとも。

 一方で、名翻訳家でもありました。中野訳で読むと、英国人の原作者が日本人になって、本の後ろに座っているかのような感じなのです。「服装の方は、真白の麻服など着こんで、案外に小ぎれいだし…」サマセット・モーム『ホノルル』の一節。どうです、モームが日本人になって、後ろに座っているではありませんか。(服飾評論家・出石尚三)


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