22年度の大手・総合商社の業績は、世界と日本経済の先行き不透明な事業環境に揺さぶられた。欧米を中心とした高インフレと急速な金融引き締め、ロシア・ウクライナ情勢の波及、ゼロコロナ政策を巡る中国経済の混乱の影響により、世界経済は減速した。また、今春には米国の地域金融機関が経営破綻するなど新たなリスク要因が顕在化している。中国では、昨年末のゼロコロナ政策の解除により、サービス消費など内需の持ち直しがみられた。
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日本では経済活動の正常化が進むなかでサービス消費やインバウンド(訪日外国人)需要は回復に向かったが、物価の高まりを受けた消費抑制や輸出の伸び悩みなどから、緩慢な持ち直しとなっている。OEM・ODM(相手先ブランドによる生産)をはじめとする商社の繊維事業は復調しているが、地政学的リスクを背景に柔軟な生産背景を整える動きが活発化している。サステイナブル(持続可能な)社会に向けた商材やサーキュラーエコノミー(循環型経済)などの仕組みを拡充することで市場を開拓する動きも顕著だ。
好調なアジア事業
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