織物やニットの産地メーカーが、独自の素材や技術を生かした生活雑貨に力を入れている。天然素材の安心感や環境配慮の取り組みが支持され、販路が拡大。素材の認知度向上や用途開発を意識した発信を強める。
麻素材メーカーの滋賀麻工業(滋賀県愛荘町)は、「洗える麻わた」でチェアマット(4000円)を販売しているほか、ラミー・リネン交織の2重織りブランケット(9000円)、近江ちぢみのハンカチ(1400円)を発売した。チェアマットは、側地にリネン、中わたにラミーを使い、麻の吸水・吸湿性を生かした。側地にも麻の刺繍を施してある。ハンカチはもみ加工で自然なしわを再現した。
同社は8年前から麻製品の開発を始め、主力事業の一つに育てた。生活雑貨では通販をはじめ、雑貨店やインテリアショップ、寝具専門店も関心を示している。夏のイメージが強い麻だが「市場で見直され、需要の伸びが期待できる」とし、年間商品として開発に注力する。
ニッターのケンランド(山形市)は、欧州リネンのニット製品「ケンランドリネン」でタオル(1850円)やマスク(2500円)、ハンカチとしても使えるディッシュクロス(1200円)などの生活小物を増やした。吸収力や速乾性、抗菌性に優れ、使うほどに風合いがソフトになる素材特性を最大限に取り入れた。
7年前にウェアから出発し、欧州展にも参加してきた同ブランドはこの2年間、国内販売を強化。デザインコンペ「山形エクセレントデザイン」の受賞実績もあり、百貨店や通販、雑貨ショップとの取り組みが広がった。「リネンの良さを再認識してもらいたい」とし、商品開発とともに消費者向けの発信を強める。
テキスタイルメーカーの三星毛糸(岐阜県羽島市)は、アップサイクル雑貨「ミッケタ」で、残糸をアクリル樹脂や和紙に混入して活用したインテリア製品を拡大した。アクリル樹脂製品は置き時計(1万8000円)やフォトフレーム、テーブル(15万~35万円)、スツール(7万円)があり、樹脂加工から木工まで岐阜県内で仕上げた。組み立て式ランプシェード(1万8000円)は美濃和紙を使った。
「テキスタイル生産で余った糸やコーンを無駄なく使いたい」との思いから、外部のデザイン事務所との協業によるプロジェクト形式で3年前に発足し、アイテムを増やしてきた。新商品でインテリアショップやホテル、服飾雑貨ショップの販路開拓に取り組む。