連載・型破り!マッシュスタイルラボ⑧

2014/12/22 13:03 更新


《広げる編・海外》日本流をずっと貫く

第7話

 今期(15年8月期)、「スナイデル」の海外(中国、台湾、香港)売上高は国内と同等の100億円規模を達成しそうだ。11年の出店開始から攻め続け、短期間で大きく成長した。レディスアパレルは中国事業から撤退・縮小する傾向だが、マッシュは依然強気だ。

思い切り投資

9話 グラフ

 国内市場と変わらない経営姿勢で、根強いファンをつかんできた。進出時からずっと、「商品、内装、VMDまで日本となんの差もない手間暇のかけ方」(近藤広幸社長)を貫いている。11年は、ヤングレディスアパレルの中国進出ブーム。様子を見ながら慎重に出店する企業が大半だったが、同社は初めから思い切り投資した。

 例えば、中国の施工費は日本と比べて割安のため、費用を浮かせる企業が多いが、同社は日本と同じ額。そのため、日本よりもさらに良い素材を使用して店装を作り込むことが出来た。ブランドの軸である〝いい物を買いやすく〟を追求するため、利幅を抑えてでも手頃な商品を提供しようと、日本の1.3倍の価格設定とした。

 スナイデルは、日本で人気のブランドとして火がつき、好調店で年商2億円ペースを売り上げ、事業は黒字化した。現地の百貨店関係者も「原価率が高く商品力があり、価値を伝えるやり方が受け入れられている」と評価する。VIPルームの開設やVIP向けファッションショーなど、中国独自のファンサービスで、顧客の優越感をくすぐっている。

23日に上海市内でVIP客や業界関係者を招いたファッションショーを開催した
23日に上海市内でVIP客や業界関係者を招いたファッションショーを開催した

欧米企業のやり方

 中国市場に消極的だった企業も円安が進む環境下では、海外販売を強化せざるを得ない状況だ。近藤の決断は早かった。昨年4月、1㌦=100円に差しかかるかという時点で、「為替リスクは日本市場をメーンにしていれば、ずっと付きまとう問題。原料高も進むなかで対応するには、海外のブランドビジネスしか解決策はない」と、海外戦略にアクセルを踏んだ。

 「海外売り上げが日本の3分の1以下ではバランスが取れない」として、1年でその基準まで引き上げた。中期的には、スナイデルで海外100店舗を目指す。国内は各ブランド25店舗規模にとどめ、「国内でブランディングしながら海外で利益を上げる。欧米の企業がグローバルに展開する際のブランドビジネス」に倣う。

 とはいえ、既存店売上高が前年を割る月が続いているのも事実。一方で、今夏、上海久光百貨に1号店を出した「フレイアイディー」の初日が記録的な売り上げを達成するなど、同社のブランドに対する期待は依然として高い。スナイデルは来春10周年を迎え、国内外で大きな仕掛けを計画中。「本気だし、楽観している」。そこでまた、はずみをつける。

=敬称略

第9話



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