【ロンドン=若月美奈通信員】初めてのデジタル形式のコレクション、ロンドン・ファッションウィーク・ジュン(LFW June)が本日から3日間の日程で開催される。このほど刷新されたLFWのサイトで公開されるファッションウィークは、男女を問わないジェンダーレスとともに、一部のプレスやバイヤーだけでなく、世界中のあらゆる人々が見ることができるボーダーレスという点でも新しい試みとして注目される。
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サイトは三つのセクションで構成されている。一つ目は「スケジュール」で、従来のファッションショーに代わるもの。午前中から夜までを2時間前後の休憩を挟んで三つのセッションに分け、34ブランドによる動画やイベントがスケジュールに沿って公開される。シーズンや発表方法は様々。メディアや小売店の参加もあり、6月14日には東京のセレクトショップGR8が日本画家の東園基昭やラッパーTOHJIがチャールズ・ジェフリー・ラバーボーイやマーティン・ローズについて語る動画を披露する。
二つ目はサイトのホームページにあたる「エクスプロア」で、ウェビナーやポットキャスト、プレイリストなども含む、ロンドン・ファッション及びロンドンの街を紹介する様々なコンテンツが掲載されている。エドワード・エニンフル英ヴォーグ編集長とサディク・カーン・ロンドン市長によるコロナ禍からの復活をテーマにした対談や、卒業ショーが中止となった全国13校の卒業作品を紹介する「クラス2020」などもある。
三つ目の「デザイナープロフィール」は100を超えるデザイナーのブランド情報や最新コレクションを掲載。それぞれのブランドが随時更新する。バイヤーはルックブックやラインシートを入手でき、 世界最大規模のファッションBtoB(企業間取引)サイト、ジョア内のLFWのページにリンクし60ブランドの買い付けができる。
ロンドン・メンズコレクションが開催される予定だった日程とあって、スケジュールに組み込まれたブランドの多くがメンズ。3月23日からのロックダウンが今なお続くロンドンで、新作のサンプルや動画を制作することには限界があり、21年春夏物はごく一部で、カプセルコレクションの発表が多い。今秋冬物やブランド紹介も多く、一般公開イベントであることを印象付ける。大半が事前に編集した動画だ。
そうした中、ライブでカプセルコレクションを発表するチャールズ・ジェフリー・ラバーボーイは見どころの一つ。サステイナブル(持続可能)なサブブランドの新作を見せるマルケス・アルメイダ、久しぶりの新作発表でLFWにカムバックするルイーズ・グレイも注目される。
主催者は、毎日その日のハイライト映像を配信。公開されたコンテンツは今後2、3カ月サイトに残り、いつでも見ることができる。