ロンドン・ファッションウィーク・セプテンバー2023 オリジンと継続テーマを追って

2023/09/26 06:29 更新


 ロンドン・ファッションウィーク・セプテンバー2023は、自らのルーツやテーマを継続して追求するコレクションが目立った。また、様々な表現での花柄、幾何学柄、モノクロでまとめたスタイルが多くなっている。

(青木規子、ロンドン=若月美奈通信員)

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 ユードン・チョイ 爽やかな朝の空気に包まれながら、風に舞う軽やかな服を見せた。ドレスの裾は波打ちながらたわみ、シャツの身頃は袖口の深いスリットから風が入る。ひらひらとした動きが感じられるようにデザインされている。みずみずしくて透け感のある花柄も春を感じさせる。テーマは「チェイシングバタフライ」

ユードン・チョイ

 アルワリア 大英図書館でプリミティブなムードのコレクションを見せている。デザイナーのルーツにあるアフリカの自然を色濃く表現した。ポイントは柄。得意とするデニムのルックは、ジャングルの中で見え隠れする動物や花がさりげなくプリントされている。シャツやパンツなどニットのセットアップも目を引く。

アルワリア

 マーシャ・ポポヴァ 20年にセントマーチンズMAを卒業したウクライナ出身の若手は、デニムコレクションを継続的に発表している。今回もタイダイの手法で星や渦、波の模様を描いたデニムが勢揃い。ホールターネックトップやクロップトブルゾンに、腰の部分をカットアウトしたバギーパンツ。グランジ風のレイブスタイルが揃った。

マーシャ・ポポヴァ

 チェット・ロー 体の曲線をいかになめらかに見せるか。さらに個性も欲しい。そんな目的を達成するためにいろんな色柄素材を試しているように見える。今回は向かい合う2人の顔をジャカードニットで描いた。春画などに着想したもので、少しエロティック。その有機的なカーブは人の骨格のようでもある。

チェット・ロー

 パオロ・カルザナ 布をねじり絡ませながら、体にはわせて留める。自由な感覚のドレーピングで、楊柳のようなしわの生地をドレスに仕上げていく。縫い留めるのは一部分だけ。それ以外の布は、ドレープを描きながらゆるやかに流れる。メンズは柔らかなイメージ。レディスはクラッシックなドレスの雰囲気が漂う。

パオロ・カルザナ

 エドワード・クラッチリー ブラック&ホワイトの柄アイテムで終始。ジオトリックな柄をいくつも組み合わせた、インパクトのあるスタイルが揃う。タイルのような柄のせいか、中世のムードも併せ持つ。サテンのシャツにプリントされた裸体もモノクロ。最後に登場したイエローのラテックスドレスが色の存在を思い起こさせる。

エドワード・クラッチリー

 アシュリー・ウイリアムス ピンクを基調とした可愛らしさとおどろおどろしさが同居する。この世の終わりに残されたものはとても可愛いものになるというストーリーに沿って、リボンとともにキリストや胎児の絵がプリントされる。子供っぽいイラストは学習障害のある人々のためのワークショップで描かれたもの。

アシュリー・ウイリアムス

 ノウルズ 1週間前にはジャンポール・ゴルチエとの協業ラインも発売。シグネチャーの下着ルックをベースにしたY2Kスタイルに、丸くがっちりとしたライダーズジャケットや複雑なフロントのレザーパンツを加え、スピード感とパンチを利かせた。コンパクトなミニドレスにはサイハイブーツを合わせ、ハードなスタイルに決める。

ノウルズ


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