レディス卸の活路③ 団塊ジュニア 「将来に危惧はない」

2019/09/23 06:29 更新


 「アパレル卸の将来に対する危惧はない」。そう言い切るのはレディスアパレル、アイランドユニヴァースの村山幸三社長。団塊ジュニア世代を主対象にしながら14年以降に5年連続で売り上げを伸ばし、14年比で約4割増を確保している。

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市場は470万人

 「アパレル卸の取引先である品揃え型専門店は全国的に縮小傾向にあることは確かだが、それでも約1万8000店ある。年商3億~50億円クラスのアパレル卸が成長する手立ては必ずある」。同社がターゲットとする43~48歳の国内の女性人口は約470万人。「この世代はファッションに対する〝わくわくする気持ち〟を持つ層。当社の〝身の丈(予算)〟に見合う市場の客層を明確に見据えながら、時代変化に適応していけば、今後20~30年にわたって成長できる」と自信を見せる。

 「アパレル卸は物作りに集中できる業態。新しい商品企画を常に提案することが使命」として、素材や機能性へのこだわりが強い。主力ブランド「CCクロス」はエレガントなスキニーストレッチデニムパンツが販売をけん引する。

 ボディーラインの補整効果を打ち出す「ボディメイクスキニー」では、ポリウレタンにポリエステル・綿を巻きつけた芯鞘(さや)構造糸という糸からの差別化を狙い、「ナチュラルスキニー」ではあえて太番手の綿で奥深く上品なデニムを表現するなど、特徴のある生地が多い。

「CCクロス」で人気のスキニーストレッチデニムパンツ

裏方に徹する

 ECは行っていない。「試みた時期もあったが大きなメリットはなかった。セール期における自社ECと卸し先の値引率の差異にも問題がある。卸専業として〝裏方〟に徹する判断をした」。卸し先の専門店の販売支援を目的としたデジタル販促ツールの活用に力を注ぐ。インスタグラムの「ストーリー」機能を活用、自社で作成したブランドのプロモーションビデオを取引先に配信する。商品の店頭納入の1週間前にLINEでも商品動画を配信、専門店の顧客へのアプローチへの活用を促す。

 シーズンごとの展示会ではインスタグラムのライブ配信を生かす。ショップオーナーが展示会でバイイングする際に、スマートフォンなどを通じて数十人の顧客に提案、受注を取る仕組み。顧客からはモバイルの画面上に「これ可愛い」「すてき」などのコメントが続々と入り、オーナーが「何色がいいですか」などとオーダーを取る。信頼するオーナーが商品を紹介することで顧客の購買意欲が高まるとともに、バイイング精度の向上にもつながる。

 アイランドユニヴァースは団塊ジュニア世代に明確に狙いを定める。商品企画や販売手法で新しい挑戦を継続しながら、卸ビジネスの可能性を体現する。

(繊研新聞本紙19年7月31日付)



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