桑山の引き輪パーツ「輪王」 着脱の気配りに支持

2017/06/21 04:15 更新


 ジュエリーメーカー大手の桑山は、オリジナルパーツの「輪王」が14年の発売以来、ヒット商品となり、同社製造のマシンチェーンの売り上げをけん引している。

 輪王は、桑山が得意とするマシンチェーンに付属する引き輪のパーツ。ネックレスの着脱時に首の後ろで引き輪を引く動作は、パーツが小さいため、うまくはまらずストレスとなりがち。同社は、「ネックレスの着脱をスムーズにすることでジュエリーをもっと気軽に身につけられるようにすれば、機会ロスを防ぎ、ジュエリー全体の需要拡大につながる」との思いで輪王を開発した。

 まず、引き輪のつまみをフラットなハートやピック型にしてひっかかりやすくし、着脱時に親指にかかる支えも長くすることで安定性を高めた。つまみの角度も、指がとらえやすいよう、やや倒すなどこだわりを詰め込んだ。強度を含めた量産テストを繰り返し、1年半がかりで商品化を実現した。

 同社が販売するマシンチェーンの総本数に対する輪王付きチェーンの割合は、14年9月の発売から半年間は約1%だったが、15年には4%、16年には10%と増加。マシンチェーン自体の販売促進にも寄与している。15年のマシンチェーン販売本数は前年比6%増で、このうち50%が輪王により増えた。16年のマシンチェーン販売本数は5%増で、このうち90%以上が輪王による増加となった。

 従来品と比較し、約200円ほど単価は上がるが、ジュエリーブランドなど取引先からは、プラスアルファの付加価値をアピールしやすいと好評で、ミドルからアッパーゾーンの価格帯の商品で特に採用が多く、リピート発注も増えている。海外の取引先からも、細かな点への気づかいが、「これぞメイド・イン・ジャパン」と支持され、店頭でも差別化しやすいとの評価を受けている。 

つまみやすい構造にした。従来品より約200円ほど単価は上がるが支持を集める


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