ニューヨークを拠点にするメンズウェア「コウザブロウ」は20~21年秋冬向けで、黒をベースにしたコレクションを揃えた。
「僕は西洋と東洋の架け橋でありたいし、NYで企画し、日本で生産するグローバルな活動を今後も続けていくうえで、ビジネスの基盤を強くする必要があると思った」と、デザイナーの赤坂公三郎。展示会は取引先の多いNYと東京の2拠点にし、パリでの開催を見送った。自身の内面に向き合い、新作はアイテムを増やしてブランドの世界を見せるのではなく、限定したモデルを作ることに集中した。
アートワークとして取り組むTシャツやパーカのプリント柄は、重力で吸い込まれるブラックホールに見立て、コウザブロウの英文字を渦巻き状に施す。コットンツイルのジャケットやコートには、曼荼羅のような円モチーフの中央で公三郎の三を1本の線が貫く柄を、サイドや背中にプリントしている。
目を引くのは、工業用の空圧ステープルでつないだメルトンのコートやジャケット。金継ぎで修繕した日本の古い器を見て、金具で留める手法を応用した。「割れたものを直せるってかっこいいし、若い人にも響くんじゃないかと思った」という。テーラーメイドの作りで、カットした布と布を金具でしっかりとつなぎ合わせ、ダークなエレガンスをモダンに見せた。