カットソー製品と、それに使う生地であるジャージーを、世界に最初に知らしめたのは、有名なデザイナー、シャネル(Gabrielle Chanel、1883~1971年)とされています。彼女の代表作の一つが、ジャージー・ドレスで、当時、男性の下着などにしか使われていなかったジャージーを、シンプルで無駄のないドレスに仕立てたからでした。
一方で、カットソーの対語になるのが、フルファッション(full-fashion)です。人の体に合うように、編み目を増やしたり、減らしたりして編み上げた(成型編み)製品を指すからです。
この編み機は、平型編み機の一つで、横編み機と仲間です。基本的な原理は、家庭用の手編み機と同じで、往復運動をしながら、一着分ずつ編み上げます。身頃や袖などパーツごとに編み、リンキング(かがり合わせ)して製品として完成します。
この最後のリンキングという作業を、完全になくしてしまったのが、無縫製ニットです。1995年、日本の島精機製作所(和歌山市)が開発しました。今では、一般名称のように使われることもありますが、無縫製編み機「ホールガーメント(WHOLEGARMENT)」は同社の商標です。
リンキングによるつなぎ目が一切なく、“当たり”が出ずに、滑らかで着心地の良い製品が得られます。コンピューターで多様な模様の出せる装置と連動し、デザインから設計、生産までの時間も大幅に短縮しました。
(終わり)