ロックダウン延長を繰り返すドイツ、空と同じ灰色の日々(宮沢香奈)

2021/01/22 06:00 更新


”もういつ日本へ帰れるか分からない”

現在のドイツの状況を踏まえて両親に送ったメッセージだ。帰国しようと思えば出来ないことはない。しかし、そこには、フライト前のPCR検査(72時間以内、自己負担)航空券、着陸空港にてPCR検査、そこでたとえ陰性であっても隔離するために2週間分のホテル代とタクシー代など、莫大なお金とリスクが付きまとう。仕事が減っている上に、春には引越しをしないといけない状況にあり、金銭的な余裕などどこにもない。ロックダウンが長引き、行動制限されているのに、助成金の条件は厳しくなるばかりで不安と不満が募っていく。それでも補償があるだけ有り難いし、世界が賞賛した昨年3月4月のドイツ政府の動きをもう期待してはいけない。”引越しをせずにこのまま本帰国をしてしまおうか?”そういった考えが毎日のように頭に浮かぶ。ビザの期限は今年の12月まで。リミットはまだまだある。

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(*ドイツ公共放送DWより)

これまで頻繁に行われていた反コロナデモも11月を最後に法律で禁止された。

期待と希望とともに迎えた2021年だったが、新年早々から良いニュースが全くない。医療用マスクの着用義務など、更なる厳しい規制が追加されたロックダウンは、1月19日の発表で、少なくとも2月14日まで延長となった。4月のイースターまで今の状態が続くかもしれないという記事を目にした時には発狂せずにはいられなかった。

*ドイツにおける防疫処置の詳細

*ドイツ公共放送DW

OPマスク,KN95/N95マスク、FFP2マスクといった医療用マスクを義務付けするなら、手洗いうがいの必要性や免疫力を上げるための具体的な方法をもっとしつこく、医学的根拠に基づいて国が伝えるべきではないのだろうか。感染したら命の危険に晒されてしまうお年寄りや疾患のある人への接触を徹底的に避けることが医療従事者への負担を減らすことではないのだろうか。病院へ行っても重篤でない限り、”自宅で隔離しながら療養して下さい”と言われるだけとのこと。嗅覚だけなくなった人、風邪だと思い病院へは行かず、自ら自宅療養していた人など様々な話を聞く。

もし、狭いワンルームに2人で住んでいたら?もし、ロックダウンで仕事がなく、隔離するためのホテルに滞在するお金がなかったら?工事現場で働く職人たちは団体で密接に作業をしながら、誰もマスクをしていないのはなぜ?私のアパートメントの改装時も友人のアパートメントも同様で、大家さんが注意したにも関わらず、”必要ない”と言い返されたらしい。ロックダウンで行く場所もなく、ほぼ毎日自宅にいた私は極力接触を避け、埃も気になったため、自ら家の中でマスクをして過ごした。それだけでもかなりのストレスだった。守れるルールにも限界がある。

ロックダウン時の駅の様子。場所にもよるが、ホームに人は疎らで車内も空いている。

ずっと家の中にいて健康が保てるわけがないので、冬のドイツでは常備薬とされるビタミンD入りのサプリメントを毎日摂取し、他にも、運動不足と自律神経の乱れから起こる便秘には、天然ヒマシ油で作られたカプセルを必要に応じて摂取している。他にも、日常的に常備している医薬品のハーブティーを症状にあわせて飲んでいる。日本にいた頃のように病院の薬を服用することを一切やめたベルリン生活では、ヨガと食事の見直しによって、生理痛、浮腫み、冷え性、便秘が全て改善され、市販の薬に頼ることさえなくなっていた。今の自粛生活では仕方ないけれど、もっと心身ともに健康でいれる方法を考えないといけない。

ドラッグストアで購入したビタミンD配合のサプリメント(左)と便秘薬(右)

灰色の空と灰色の建物に覆われたベルリンの街は空気さえも灰色に染まっているように感じてしまう。”もっと人間らしく生きたい” それが今一番思うことである。


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長野県生まれ。文化服装学院ファッションビジネス科卒業。

セレクトショップのプレス、ブランドディレクターなどを経たのち、フリーランスとしてPR事業をスタートさせる。ファッションと音楽の二本を柱に独自のスタイルで実績を積みながら、ライターとしても執筆活動を開始する。ヨーロッパのフェスやローカルカルチャーの取材を行うなど海外へと活動の幅を広げ、2014年には東京からベルリンへと拠点を移す。現在、多くの媒体にて連載を持ち、ベルリンをはじめとするヨーロッパ各地の現地情報を伝えている。主な媒体に、Qetic、VOGUE、men’sFUDGE、繊研新聞、WWD Beautyなどがある。

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