止まらないラーメン人気に続くのはカレーか?ベルリンの最新グルメ事情(宮沢香奈)

2024/05/29 06:00 更新


私が移住した10年前から現在に至るまで、ラーメン店のオープンラッシュが止まらないベルリン。現時点で、20店舗以上と10年前には考えられなかった数だが、今後もまだまだ増えそうな勢いだ。しかも、海外にありがちなアジア諸国のいろんな味や素材がミックスされた”ラーメン”とは到底呼べない不思議なラーメンではなく、日本人シェフ、もしくは、日本人が考えたレシピをもとに作っているため、日本人の私たちであっても満足できるクオリティーの高い店が増えている。

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さらには、それぞれの店舗でオリジナルメニューを提供しており、「今日は〇〇の豚骨ラーメンが食べたい」と、その日の気分で選ぶことができる。これは、海外暮らしにとって非常に嬉しいことで、ありがたくもある。

ミッテ区に位置する「ALATA Ramen & Curry」は、昨年7月にオープンし、もうすぐ1周年を迎える新しい店だ。奥行きのある店内は、ラーメンやカレーをメインにしている店とは思えないほど広々しており、洗練された内装が印象的。和を意識した落ち着きのあるデザインに、アンティークウッドが似合う白い壁にモールディングといった伝統的なヨーロッパ建築がミックスされている。もともとフレンチレストランだった場所をリノベーションしたとあって納得。

看板メニューには、カリーヴルストラーメンというここでしか食べられないオリジナルメニューがあり、珍しさだけでなく人気も高い。カリーヴルストとは、ドイツソーセージに甘めのケチャップソースとスパイシーなカレー粉をまぶしたベルリン名物のファストフード。一番人気は坦々ラーメンとのことだが、坦々シリーズにはカレーもあり、新メニューとして坦々つけ麺も登場したばかりだ。他にも、居酒屋のような小皿メニュー、コーヒーや抹茶ラテといったカフェメニューもあり、ティータイムの利用が可能なのも嬉しい。

「ALATA Ramen & Curry」では、飲食店としてだけでなく、奥の個室を開放して様々な催しが行われている。ドイツ語で話したい人を集めて気軽に語り合うスタムティッシュやお琴教室、ライブパフォーマンス、ガレージセールなど、日本人が中心となって主催し、異国文化の交流の場となっている。私もガレージセールに参加させてもらったが、なかなかの盛況だった。日本語を流暢に話せるドイツ人や親日家で日本の文化に興味のある人、近隣に貼ったフライヤーを見て立ち寄ってくれた人、ラーメンを食べに来たお客さんなど、いろんなゲストと話をすることができ、貴重なコミュニケーションの場となった。

ラーメン以外にも居酒屋、寿司レストラン、おにぎりショップ、日本酒ショップ、日本食専門スーパーなど、日本食関連の店舗が次々とオープンしているベルリンだが、次に注目しているのがカレーである。「ALATA Ramen & Curry」でもカレーが看板メニューとなっているがランチタイムを含め、やはり人気があるようだ。日本のカレー専門店「Takenori Restaurant」をはじめ、「kokoro ramen」の新店舗でもカレーを打ち出しており、飲食専門のコンサルタントの知人からはすでに日本のカレーを広める動きが始まっていると聞いた。カレーもラーメンも大好きな私にとって嬉しいニュースであり、今後ますます日本食が浸透していくことを期待せずにはいられない。

ALATA Ramen & Curry
Chausseestraße 110, 10115 Berlin
https://www.instagram.com/alata.ramen.curry/

(Photo:Takuya Matsuura)

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長野県生まれ。文化服装学院ファッションビジネス科卒業。

セレクトショップのプレス、ブランドディレクターなどを経たのち、フリーランスとしてPR事業をスタートさせる。ファッションと音楽の二本を柱に独自のスタイルで実績を積みながら、ライターとしても執筆活動を開始する。ヨーロッパのフェスやローカルカルチャーの取材を行うなど海外へと活動の幅を広げ、2014年には東京からベルリンへと拠点を移す。現在、多くの媒体にて連載を持ち、ベルリンをはじめとするヨーロッパ各地の現地情報を伝えている。主な媒体に、Qetic、VOGUE、men’sFUDGE、繊研新聞、WWD Beautyなどがある。



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