【パリ=松井孝予通信員】仏ケリングは7月27日、カタール王族の投資会社メイフーラから伊「ヴァレンティノ」の株式30%を17億ユーロ(約2635億円)で取得すると発表した。譲渡は競争当局の認可を待ち、23年末までの完了を予定している。
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この株式取得は両社の広範囲に及ぶ戦略的パートナーシップを意図し、ケリングは遅くとも28年までにヴァレンティノの全株式を取得可能で、メイフーラがケリングの株式を取得するというオプションもある。両社はそれぞれの発展戦略が共有する潜在性について検討していく。
ラグジュアリー産業を専門とするメイフーラは12年、ヴァレンティノファッショングループから「ヴァレンティノ」「エム・ミッソーニ」を、16年に「バルマン」を買収。トルコの高級百貨店も傘下に擁する。ヴァレンティノの22年売上高は前年比15%増の14億ユーロ超、EBITDA(金利・償却・税引き前利益)3億5000万ユーロと好業績だった。
ケリングはグループ総売上高の半分を占める「グッチ」の復調と傘下メゾンの強化を目的に、人事をテコ入れしたが、業績回復には時間を要する。6月には高級香水メゾン英「クリード」を買収、これに続く近い将来の買収を視野に入れたヴァレンティノへの資本参加で新たな展望を開く。