盛岡市の百貨店、川徳が新たな経営体制の下、改革を進めている。投資ファンドの支援を受けて4月1日に新会社「川徳」を設立。元三越伊勢丹の複数の人材を要職に起用したほか、6月末には大型リニューアルの第1弾も実施する。
22年10月に元三越伊勢丹の南波岳大氏を取締役営業本部長として招いたのに続き、今年4月には元新潟三越伊勢丹社長で伊勢丹新宿本店長も務めた鷹野正明氏が取締役に就いた。体制も刷新し、これまでの重層的な組織を改め、経営と現場の距離を縮め、意思決定を素早く行えるようにした。5月14日には、川徳として初めて本館のパルクアベニュー・カワトク店長に女性を抜擢(ばってき)した。
25年春を完了のめどとする大型改装では「ごそっと抜け落ちている」(南波取締役)という20代から40代半ばの客に向けた提案を強める。投資額は非公表だが「旧川徳では難しかった規模」になりそうだ。今後、4、5回に分けて段階的に本館と別館キューブ2の改装を進め、客層の拡大と増収を目指す。
第1弾の改装は6月30日で、本館3階と屋上、キューブ2の1階が対象。特に本館3階は、百貨店では珍しいアウトドアグッズなどを中心とした自主編集売り場(広さ約265平方メートル)を新たに設ける。また屋上には人工芝を敷き詰め「ソラバ」という憩いの場とする。
旧川徳は19年度(20年2月期)、4店(本館、別館、アネックスカワトク、カワトク宮古)合わせて約200億円あった売上高が、20~22年度には約170億円まで縮小。経営の立て直しのため、大幅な債権カットなどを条件に、中小支援ファンドのルネッサンスキャピタルが主導し、事業再生計画を遂行することとなった。