モダンムーブメントの建築家として知られる坂倉準三(1901~69年)の回顧展「人間のための建築」が、パリ日本文化会館で開かれている。
坂倉は1931~36年、パリでル・コルビュジエのアトリエで学び、その翌年に開かれたパリ万国博覧会日本館を設計し、建築部門でグランプリを受賞。高い評価を得て日本人建築家として初の国際的な名声を手に入れた。
帰国後は自身の建築研究所を創設し、神奈川県立近代美術館、東急会館、東洋レーヨン基礎研究所(現東レ基礎研究所)、小田急電鉄新宿西口本社ビル(小田急百貨店本店)といった公共から企業、都市計画の建物まで、また岡本太郎邸(現岡本太郎記念館)や家具にわたる幅広い分野で傑作を残した。
パリ万博80周年を記念する同展では、日本館の模型や当時の記録フィルム、ル・コルビュジエとの書簡など貴重な資料を展示。パリでの交流関係を背景に、フランスで建築家を志した坂倉が帰国後、日本らしさを取り入れながらモダンムーブメントを発展させた経緯をたどる。7月8日まで。入場無料。
(パリ=松井孝予通信員)
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