「ジャパン・テキスタイル・コンテスト2025」(JTC)の審査会(須藤玲子審査委員長)が、愛知県一宮市で開かれ、グランプリに、池口達治さん(尾張繊維技術センター)の「絣格子」を選んだ。
162点の一般応募から選ばれたグランプリ作品は、粘度を高めた特殊染料によって糸染めの際の濃度を自在に調整し、梳毛糸を染色。これを経糸・緯糸に使い、織り組織と糸配列がランダムになるように調整してグラデーションになるように格子を表現したウール100%。織り上がった生地は糸のゆがみが緩和されたままである洗絨(せんじゅう)上がりの状態でヒートセットし、柔らかい風合いに仕上げた。

須藤審査委員長は「独自の染め技法による新しいテキスタイルデザインを提供。モザイク状によって多くの色調を表現している。未来に向けた国産テキスタイルを期待させる」と講評した。
学生の部62点から選ばれた最優秀作品、スプラウト賞は湯浅薫子さん(多摩美術大学)の「Kuori」。須藤審査委員長は「タペストリーにしても素晴らしい構成」とした。

グランプリ以外の主な入賞作品は以下の通り。準グランプリ=清水幸伸(ファインテキスタイル)、新人賞=遠藤みなみ(遠孫織布)、エコロジー賞=今井真子(瀧定名古屋)、イノベーション賞=久保竜二(久保かすり織物)、エモーショナル賞=桂川登(ササキセルム)
入賞作品は11月14日まで東京で開かれる総合素材展「東京テキスタイルスコープ」の尾州スタイル内で展示されている。来年2月19日には愛知県一宮市で開かれる「ジャパンヤーンフェア&THE尾州」で表彰式と作品展が行われる。
