イトキンのレディスブランド「オーヴィル」は、24年春にデビューした。期間限定店を通じて感度の高い女性たちとの接点を築き、富裕層の上質な日常着として支持を広げている。10月には初の常設店をオープンする予定だ。
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ブランドスタート時に描いたペルソナは、ファッションやアートへの関心が高く、日々の体のケアなどを含め生活全体に意識の行き届いた女性です。年齢層は限定していませんでしたが、40~60代を中心に、上質な日常着を求めるお客様が多く来店しています。顧客像は当初のイメージとぴったりでした。
これまで伊勢丹新宿店、阪急うめだ本店、JR名古屋高島屋などで期間限定店を開催してきました。ふり客がほとんどで、上質な素材や気候に合わせてスタイリングした店頭のトルソーに目を留めてくださる方が多かった。

よく売れているのはシアー素材のニットトップです。年齢を重ねたお客様には透け感のあるアイテムは敬遠されがちですが、オーヴィルのお客様にはむしろ好評でした。肌見せに抵抗のない、予想以上にスタイリッシュで高感度なお客様が多いです。値段を気にせず購入される方も多く、セットでの提案もしやすい。直近の期間限定店での平均客単価は10万円ほどです。
インバウンドのお客様にも一定の支持を得ています。期間限定店では全体の2割程度がインバウンドでした。アジア圏に加えて欧米の方も多いのが特徴です。海外展開も視野に入れています。
3月にオープンしたブランド単独のECは、立ち上がりこそ苦戦しましたが、4月以降は少しずつ動きが出てきました。最近では、1人のお客様が40万円近く購入されるケースも。今後、サイトでは商品の背景や取り組みを伝えるコンテンツ発信に注力していくほか、オムニチャネル化も進めます。
初の常設店に続き、複数出店を検討しています。常設店では顧客化に向けた取り組みにも力を入れていくつもりです。